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はじめに
不慮の突然死の多くは突然の心室細動(VF)によって起こる.残念なことにその多くは前兆がないか,あっても見過ごされがちである.したがって事前に予防処置を講じることが極めて困難か,たとえ処置がとられてもその効果が不確実なことが多い.
突然死を回避する最も確実な方法は,VF出現直後の電気的除細動であるが,それには除細動器とそれを使う人がすぐそばにいる必要がある.この一見不可能に近い要求に応えたのがMirowskiである.彼の発明した植込み型全自動除細動器を彼は当初,standby automatic defibrillatorと命名したが1),後にそれはICDと改名され,今日に至っている.
ICDの適応として日本のガイドラインで認められているのは以下のようなケースである2).
1)既にVFによって心停止を起こし,幸いにも蘇生された例のうち,虚血,電解質異常,薬剤など急性の要因が関わっていない例.
2)VFに近いレートの速い持続性心室頻拍(VT)が器質的心疾患に伴って出現し,失神を伴ったり,ショック状態になった場合.
3)ブルガダ症候群に伴う自然停止するVFあるいは多形性VT.
4)血行動態的に安定している単形性VTであっても,治療抵抗性のVT例.
5)器質的心疾患に伴う失神で治療抵抗性の致死性心室性不整脈が電気生理学的に誘発可能な場合.
これらはいずれも一度は致死性不整脈を経験している例であり,二度目は助からないかもしれないのでICDが薦められるわけである.その意味で二次予防とも称され,いずれも絶対適応といえるClass Ⅰ推奨に属する.また,非持続性VTであっても突然死を予防(一次予防)する意味でICDが薦められるケースとして,
6)EF 35%以下の左室機能低下を伴うOMIあるいはDCM例に非持続性VTを認め,しかもプログラム刺激で持続性VT/VFが誘発可能で,かつそれが薬剤抵抗性の場合があり,これもClass Ⅰ推奨である.
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