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睡眠呼吸障害と循環器疾患の最近1年間の話題
[1] はじめに
睡眠時無呼吸は睡眠中の10秒以上の呼吸停止で定義され,睡眠呼吸障害の主要な構成要素である.睡眠時無呼吸のために睡眠の質・量ともに低下し,昼間の過度の眠気を含む多彩な自覚症状が出現する状態を睡眠時無呼吸症候群と呼ぶ.また,睡眠時無呼吸には閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(central sleep apnea;CSA)の2つのタイプがある.閉塞性睡眠時無呼吸は睡眠時も気道の閉塞によるもので,肥満,メタボリックシンドロームなどと合併することが多く,頻度の高い病態である.無呼吸中には呼吸努力がみられる.一方,中枢性睡眠時無呼吸は中枢からの呼吸のドライブの消失により起きるもので,無呼吸中に呼吸努力がみられない.心不全に合併する中枢性睡眠時無呼吸は,覚醒時にもみられるCheyne-Stokes呼吸(CSR)と同様の機序で起きるためCSR-CSA(central sleep apnea with Cheyne-Stokes respiration)と呼ばれることが多い.またこれらの睡眠時無呼吸を包括する概念として睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing;SDB)という呼称が用いられる.睡眠時無呼吸症候群(SAS)は居眠り運転の原因となり安全管理の面で問題となり社会的に認知されるようになった.一方,睡眠時無呼吸は自覚症状の有無にかかわらず,つまり“症候群”であるか否かに関係なく存在そのものが循環器疾患の発症進展に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた.最近,このような視点から睡眠時無呼吸と循環器疾患についての検討を行った報告が増加している.本稿ではそのなかから特に心不全とSDBに焦点を当てて最近1年間のトピックスを紹介する.
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