免疫と病気・8
移植拒絶反応
矢田 純一
1
1東京医科歯科大学医学部小児科
pp.865-868
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918471
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I.移植の必要な病気
ある組織や臓器に欠陥が生じ,ほかの方法では治癒の見込みがない時には,ほかの動物やヒトの組織を移植することが考えられる.現在,実際に行われているものとして,角膜,皮膚,腎,骨髄細胞,心の移植などがある.
角膜の移植は最も古くから手がけられ,しかも成功率が高く,角膜疾患の治療に広く行われている.腎の移植も盛んに行われていて,かなりの成功をおさめている.慢性腎機能不全はそのままでは回復の見込みがないし,生命を維持していくためには,月に何回か人工透析を行って体内に蓄積してくる老廃物を除去し,尿毒症の発生を予防しなければならない.そのためのばく大な費用と手間とを考えると,成功すれば腎移植は患者にとって大変な福音である.
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