今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠維持と免疫
6.胎児はなぜ拒絶されないか
香山 浩二
1
Koji Koyama
1
1兵庫医科大学産科婦人科学教室
pp.156-158
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900731
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表題に対する完全な解答はまだ得られていないが,下記に示すMedawar(1953)の4つの仮説が提唱されて以来,多数の研究者がその謎解きに挑戦し幾多の成果を上げてきた。移植免疫学的には同種移植allograftとも考えられる妊娠の免疫学的維持機構には母体—胎児—胎盤系の多くの因子が関与していることは間違いないが,各因子の詳細については他の筆者が述べられると思うので,本稿ではMedawarの仮説,すなわち1)Fetus;Antigenic immaturity 2)Uterus:Immunologically privileged site 3)Mother:Immunologic inertness 4)Placenta:Immunological barrierを実証しようとして行われてきた研究成果として,現在彼の仮説に対してどのような見解がとられているかについて述べる。
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