Japanese
English
特集 冠血行再建術のエビデンスをどうみるか―PCIとCABG
慢性安定冠動脈疾患における薬物治療のエビデンス
Evidence of Medical Treatment for Chronic Stable Coronary Artery Disease
古市 晋一
1
,
浅野 竜太
1
,
住吉 徹哉
1
Shinichi Furuichi
1
,
Ryuta Asano
1
,
Tetsuya Sumiyoshi
1
1榊原記念病院循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Sakakibara Heart Institute
pp.485-489
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101698
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
動脈硬化のリスク管理の重要性が認識されるとともに,薬物療法と血行再建術の目覚しい進歩によって,最近の20年で冠動脈疾患による死亡率は低下する傾向にあるが,先進国においてなお主要な死因であり続けている1).冠動脈硬化は狭心症,心筋梗塞,心不全,突然死などを引き起こすが,薬物療法は冠動脈プラークの進展抑制や心筋虚血の軽減などを介してこれらの心イベントを防止することを目的としている.さらに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパス術(CABG)による血行再建術は,より効果的に心筋虚血を解除し,症状および生命予後の改善をもたらすことができる.
急性冠症候群患者に対して,早期の冠血行再建術を前提とした侵襲的アプローチは,保存的アプローチに比べ死亡や心筋梗塞の減少に寄与することが示されている2,3).一方,慢性安定冠動脈疾患(chronic stable coronary artery disease)に対しては,直ちに血行再建術を行うべきか,まずは薬物療法を行うべきか,明確な判断は難しく,未だ議論が続いている4).特に,国内外を問わず慢性安定冠動脈疾患において非侵襲的な検査による虚血の証明がなされないままPCIが施行される事例も少なくないため,医療コストを含めてPCIの妥当性が問われている.
本稿では,慢性安定冠動脈疾患における薬物療法と冠血行再建術の位置付けをこれまでのエビデンスをもとに考察したい.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.