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心臓リハビリテーションの重要性・概念の変遷
近年,急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)患者は,経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)の普及により,早期離床,早期退院が可能となり,短期予後は著しく改善された.しかし,退院後に死亡,再梗塞,心不全,Quality of Life低下などのリスクは残存し,長期予後に関しては依然として多くの課題が残されている.
41カ国の多施設研究(Organization to Assess Strategies in Acute Ischemic Syndromes;OASIS)では,急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)後の薬物療法は遵守されているが,一方で禁煙の実施率は約70%,食事療法,運動療法の実施率は30%前後であることが報告された1).また,禁煙,食事療法,運動療法を包括的に実施していた者は,心血管イベント発症が52%低下したと報告されており,ACS後の長期予後を改善するためには,禁煙,食事療法,運動療法の実践,すなわち包括的心臓リハビリテーションが重要であることが示された.ACSでは,発症前の責任冠動脈病変の約7割が50%以下の軽度狭窄であり,その病因は不安定プラークの破綻と局所の急性血栓形成による血管閉塞であること2)をふまえると,冠動脈疾患患者の長期予後を改善するためには,責任病変に対するPCIなどの侵襲的治療を行うことだけでは不十分で,非責任病変にも不安定プラークを有する“vulnerable patient”として早期発見,早期介入を行うことが必要である.その観点から心臓リハビリテーションを,全身の血管病変への介入,主要な心血管疾患治療法の一つとして認識するべきである.
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