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約40年前に急性心筋梗塞患者の早期離床と安全な退院を目指す補完的医療として開始された心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)は,今日では,動脈硬化性疾患や慢性心不全のQOL・長期予後改善において標準的薬物治療に匹敵する効果が示され,主要な心血管治療法の1つとして期待される状況になっている.しかし,心臓リハビリを新しい心血管治療と考えるなら,長期予後改善効果と安全性のエビデンスが示され,病態に応じた最適プログラムが提供され,他の治療法(薬物・カテーテル治療・デバイス・手術)との併用が可能であり,全国どこでも利用できる体制が整備されている必要がある.
本特集ではこのような観点から,わが国において心臓リハビリが心血管治療として是認され,広く普及するための必要十分条件を念頭に置いた構成とした.まず,心臓リハビリ・運動療法の有効性の根幹であるプラーク安定化作用と血管保護作用について,西谷美帆先生に最近の動向を解説していただいた.次に最近注目されている慢性心不全に対する運動療法について,エビデンスから実際の進め方までを牧田茂先生に解説していただいた.次いで,最近急速に増加しているICD・CRT-D装着後患者の心臓リハビリ・運動療法の有効性と実施上の注意点について安達仁先生に,また心臓リハビリ・運動療法における基本的検査法である心肺運動負荷試験(CPX)の意義と活用法について中西道郎先生に解説していただいた.後半では心臓リハビリの運営や将来展望をテーマとして,まず新規立ち上げと運営・チーム作りについて,長山雅俊先生に解説していただいた.さらに,近年注目されている虚血性心疾患や慢性心不全の疾病管理プログラムとしての心臓リハビリの役割について,眞茅みゆき先生に概説していただいた.最後にわが国における心臓リハビリの実態と今後の課題について上月正博先生に述べていただいた.
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