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特集 呼吸不全を来す難治性呼吸器疾患克服への取り組み
若年性肺気腫(若年発症COPD)
Early Onset COPD
藤本 圭作
1
Keisaku Fujimoto
1
1信州大学医学部保健学科検査技術科学専攻生体情報検査学講座
1Department of Biomedical Sciences, Shinshu University School of Health Sciences
pp.121-125
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101628
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概念・定義
若年発症COPD(慢性閉塞性肺疾患)はCOPDのなかでも特に喫煙感受性が高い一群と考えられる.1996年に厚生省(現:厚生労働省)特定疾患,呼吸不全研究班(主任研究者:栗山喬之教授)により初めて若年性肺気腫の診断基準が示された1).その後,COPDの定義や考え方が大きく変化し,気腫病変が明らかではないCOPDも含めて若年発症COPDと改められた.長期間の有毒な粒子やガスの吸入曝露が原因で発症し,喫煙者(断煙者を含む)では50歳未満,非喫煙者では60歳未満で持続的なFletcher,Hugh-JonesⅡ度以上の労作時呼吸困難と不可逆性の気流閉塞を示す疾患と定義された.不可逆性の気流閉塞とは,気管支拡張薬吸入後の1秒率〔FEV1%:1秒量/努力肺活量(FVC)〕が70%未満であり,徐々に進行する慢性の気流閉塞を示し,他の気流閉塞を来しうる疾患(気管支喘息,びまん性汎細気管支炎,副鼻腔気管支症候群,膠原病などが原因の閉塞性細気管支炎,気管支拡張症,肺結核後遺症,塵肺,肺リンパ脈管筋腫症,うっ血性心不全)を除外できると定義される.しかし,2007年度の呼吸不全調査研究班の第2回総会において,喫煙歴の有無を問わず50歳未満の発症とし,発症に関しても,Hugh-JonesⅡ度以上の労作性呼吸困難が必要であり,さらに客観的な指標として50歳未満で既に1秒量の対予測値(日本呼吸器学会予測値を使用)が50%未満の者とすることに意見が統一された.この基準に準拠するとわが国には約100名弱の患者が存在することになる2).
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