Japanese
English
特集 呼吸不全を来す難治性呼吸器疾患克服への取り組み
序文
Foreword:An Action to Intractable Respiratory Diseases Susceptible to Respiratory Failure
三嶋 理晃
1
Michiaki Mishima
1
1京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学
1Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medicine, Kyoto University
pp.119-120
発行日 2011年2月15日
Published Date 2011/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101627
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- Abstract 文献概要
わが国の難治疾患対策では,症例数が比較的少なく,原因が明らかではなく,治療方法が確立しておらず生活面への長期に渡る支障がある130疾患に対して難治性疾患克服事業・臨床調査研究対象疾患と指定している.特に難治度・重症度が高く,患者数が少ないため,公費負担の方法をとらないと原因の究明・治療法の開発に困難を来す恐れのある56疾患については,特定疾患治療研究事業として医療費助成制度を適用している.しかし,この制度の新規適用が切望されている疾患も多くある.最近の医学の著しい進歩によって,原因の究明・治療法の開発が進められた結果,近未来に克服されると期待される疾患もあるが,その一方で未だに生命予後を改善させることのできない疾患も多くあるのが現状である.
厚生労働省「呼吸不全に関する調査研究班」の理念は,「呼吸不全の原因となる難治性疾患研究事業対象7疾患:肺リンパ脈管筋腫症(LAM),若年発症重症COPD,ランゲルハンス細胞組織球症(LCH),肺動脈性肺高血圧症(PAH),慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH),肥満低換気症候群(OHS),肺胞低換気症候群,に対して疾患ごとに,疫学調査・病態解析・診断・原疾患の治療という多面的なアプローチによる呼吸不全発症の予防策を検討し,また,すでに呼吸不全が発症した患者に対しては,非侵襲的換気・肺移植対策などの治療の標準化を図る.」というものである(図1).この理念は,疾患別カテゴリーと,治療別カテゴリーを2次元的に配置することによって,既存治療の充実,医療の均てん化,新規医療の開発などを推進することをねらいとしている.
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