Japanese
English
特集 ALI/ARDS治療の新展開
活性化プロテインCによるARDSの治療
Activated Protein C as a Possible Therapeutic Agent for ARDS
岡嶋 研二
1
,
原田 直明
1
Kenji Okajima
1
,
Naoaki Harada
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科展開医科学分野
1Department of Translational Medical Science Research, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences
pp.583-586
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101493
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はじめに
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は,重症感染症やショックなどに認められる非心原性の肺水腫で,しばしば多臓器不全(MOF)へと進展し,その死亡率は30~50%である1).この肺水腫の本態は,活性化好中球による肺血管内皮細胞の傷害による肺血管内皮透過性亢進で,これにより酸素の拡散低下による低酸素血症が引き起こされる.好中球の活性化には,過剰なTNFなどの炎症性サイトカインが関与しているが,TNFは同時に単球や血管内皮細胞を活性化して,凝固線溶異常を惹起するので,理論的にもARDSには凝固線溶異常が合併しやすいと考えられる.
本稿では,ARDSの病態形成における凝固線溶異常の成因と役割について解説し,生理的抗凝固物質である活性化プロテインCによるARDS治療の可能性について述べる.
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