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あとがき
永井 良三
pp.764
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101304
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社会の動きがめまぐるしくなり,誰もが長時間仕事をするようになった.忙しい理由の一つはITの発達である.パソコンを始めた頃は仕事が効率化すると悦に入っていたが,ネット時代となると状況は変わってしまった.いつの間にか巨大な管理機構に組み込まれ,また自ら仕事を背負い込みすぎることによって,長時間労働を強いられるようになった.誰もがいつも仕事に追われ,チャップリン演ずるモダンタイムズの歯車となってしまった.
近代は効率化と目標達成に邁進する時代であった.未来社会でも組織的な仕事の重要性は変わらないであろうが,歯車となった個人は達成感を失い,社会に生活習慣病が増加する.ストレス下の長時間労働により生活は不規則となり,容易に過食や運動不足に陥るからである.深夜に及ぶ仕事が睡眠に影響を及ぼしていることも想像に難くない.時代の進歩も国民の健康に害が及んでは本末転倒であろう.
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