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あとがき
永井 良三
pp.128
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101196
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医療崩壊が叫ばれてから久しい.最近,脳出血を起こした産婦のたらい回しが報道され,救急患者の受け入れ体制が改めて社会問題となった.そもそも我が国の医療体制は,アクセスと低コストを優先し,医療の質が犠牲となってきた.低医療費政策は人件費の抑制に反映される.そのため,中核病院といえども軽症から中等症までのケアには適しているが,多くのマンパワーに依存する重症患者や救急患者の受け入れには限界が認められてきた.循環器臨床は,急性冠症候群,急性大動脈解離,心不全など,集中管理の必要な疾患が多いだけに,医療提供体制のあり方に大きな影響を受ける.
循環器診療には一連の流れがある.しかし,外来での慢性疾患管理,救急医療,入院診療,リハビリテーションを単独の医療機関で担うことは,容易でない.予防,急性期,慢性期の診療を病院や診療所によって分担するシステムが必須である.現在,その方向に政策誘導されているものの,現実には中核病院における1ベッドあたりの医師数や看護師数は欧米の1/3から1/5である.
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