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はじめに
現代の呼吸器疾患の臨床においては,CTは必要不可欠な道具となっている.CTによって得られる情報は非常に有用であり,COPD(慢性閉塞性肺疾患),肺癌をはじめ,感染症,間質性肺炎など,あらゆる呼吸器疾患で最大限に活用されており,胸部CTなしでの呼吸器疾患診療は考えられないくらいである.しかし,COPDに関する世界的なガイドラインGOLD(Global Initiative for Obstructive Lung Disease,http://goldcopd.com/)では,画像診断は必須のものとはされていない.CTに関する記述では,「日常的に行うことは推奨できない.しかし,COPDの診断に疑義のある場合には,high resolution CT(HRCT)が鑑別診断に役立つ可能性がある」と記載されている.また,わが国でのCOPDのガイドライン「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第2版」(2004年,日本呼吸器学会)でも,COPDの診断そのものには画像診断は必須のものとはされていない.
近年,胸部X線CTの解像度が年々向上し,HR(high resolution)CTでは,肺気腫の最小単位と考えられる数mm径の病変内の構造まで捉えるまでに解像度が上がっており,気腫性病変を明確に評価できるようになってきた.さらに,HRCTで気道壁の肥厚や気管支内腔の狭小化などの気道病変を示唆する所見も検出できるようになってきた.そこで,CTを用いることによって気腫病変と気道病変を弁別できる可能性があり,臨床への有用性が期待される.また,CTを用いた肺癌検診やコンピュータ支援診断法の開発により,肺癌診断においても応用され,肺癌の早期診断,予後改善に向けての取り組みが進んでいる.
本稿では,COPD,喘息のCT画像を用いて何がわかるのか,今後どのような役に立つのか,また肺癌検診への取り組みについて述べる.
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