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特集 肺疾患の最新画像診断
閉塞性肺疾患の画像診断
Imaging of Obstructive Lung Disease
髙橋 雅士
1
,
新田 哲久
2
,
高櫻 竜太郎
2
,
牧 大介
2
,
村田 喜代史
2
,
羽白 高
3
,
中野 恭幸
3
Masashi Takahashi
1
,
Norihisa Nitta
2
,
Ryutaro Takazakura
2
,
Daisuke Maki
2
,
Kiyoshi Murata
2
,
Takashi Hajiro
3
,
Yasutaka Nakano
3
1滋賀医科大学医学部附属病院放射線部
2滋賀医科大学医学部附属病院放射線医学講座
3滋賀医科大学医学部附属病院呼吸器循環器内科
1Department of Radiology, Shiga University of Medical Science
2Department of Radiology, Shiga University of Medical Science
3Department of Cardiovascular and Respiratory Medicine, Shiga University of Medical Science
pp.987-996
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100728
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GOLD2001によるCOPDの定義と画像診断
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の定義やガイドラインについては,過去数十年の間,多くのものが報告されてきた.それらに共通するのは,COPDとは,慢性気管支炎,肺気腫または両者が共存することによって起こる包括的な閉塞性疾患であり,その意味するところは多分に症候群的な意味合いが強かった.
GOLD(Global Initiative for Obstructive Lung Disease)によるCOPDの定義は,“完全に可逆的ではない気流障害によって特徴づけられる病態”で,“進行性であり,かつ有害な微粒子やガスに対する肺の病的な炎症性反応に伴うもの”とされている1).この定義のなかには,肺気腫や,慢性気管支炎という病名は含まれておらず,COPDは,“炎症”という単一の原因によって全ての病態が説明される単一の疾患であるとされている.末梢気道の炎症を中心に考え,これが中枢気道に及べば慢性気管支炎であり,肺胞レベルに及べば肺気腫を起こす.細気管支の炎症は,その内腔の狭小化がsmall airway diseaseとして気流障害の原因となり,肺胞の炎症は肺胞壁の破壊性変化を惹起し,肺気腫となり,気道の肺胞による支持力が低下し,呼気時に気道が虚脱する.これらが総合的に気流障害を引き起こすことになる.喘息も,気道の炎症を主体とする気流障害を特徴とする疾患であり,COPDに併存しうるが,その炎症はCOPDの炎症とは異なるとされる2).
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