Japanese
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Current Opinion
COPD―全身性疾患としての観点を中心に
Systemic Effects of COPD
青柴 和徹
1
Kazutetsu Aoshiba
1
1東京女子医科大学大学院呼吸病態制御学
1Pulmonary Division, Graduate School of Medical Science, Tokyo Women's Medical University
pp.313-316
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101227
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COPDの全身性影響についての最近の話題
最近の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)についての概念上の変化は,COPDの病変は呼吸器に限定されるのではなく,全身性病変であるという認識である.例えば,COPD患者では体重減少や栄養障害,骨格筋の萎縮と機能障害,高血圧,冠動脈疾患,骨粗鬆症,抑うつ状態などの全身併存症がみられる1,2).中等症以上のCOPD患者では25%に体重減少[BMI<21kg/m2:またはlean body mass index(LBMI)<16kg/m2(男性),<15kg/m2(女性)]がみられるが,一方では肥満やメタボリック症候群の合併も高率である.このようなCOPDによる全身への影響は,肺癌とともにCOPD患者の予後を決定する因子として重要である.
欧米におけるCOPD患者の死因調査によれば,心血管疾患が25%,肺癌などの悪性疾患が20~30%で,COPDの進行による呼吸不全死は調査によるばらつきがあるが,4~35%と報告されている.このようなCOPDの併存症や合併症は患者の生命予後と同時に,QOLやADLを規定する因子として重要である3).したがって,COPDの治療目標としては呼吸機能の改善とともに,全身併存症や肺癌の早期発見と治療介入が重要である.
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