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3次元心エコーの最近の動向
3次元心エコーが臨床の場でも広く使用できるようになって既に数年が過ぎようとしている.その間に装置自体の普及も進み,またその応用範囲も確実に広がってきた.昨年度には米国心エコー学会からの公式ステートメントとして3次元心エコーについてのレビュー(ASE Position Paper)が発表され,検査方法としての有用性は確立したといえる1).特に心臓の構造を正確に把握できるため,小児心臓病学,心臓外科の領域ではその有用性は高く評価されている.それに対して,形態よりも機能評価に重点が置かれることの多い成人の循環器内科分野においては必ずしも日常臨床の場で広く普及しているとはいえず,いまだに研究ツールとみられることも多いのは誠に残念である.
そのような状況にあって,その臨床的有用性が最も確立しているのが心房・心室の容量および重量の計測である.左室および左房については,2次元エコーよりも高い精度で容量を計測できることがMRIなどを基準とした多くの報告において認められている.実際に3次元心エコーによる正確な左室容量・心機能は治療方針決定にも影響を与えうると指摘されている2).小児例,さらには単心室のような心エコーでの計測が難しい症例においても,3次元心エコーによって左室容積,心筋重量,駆出率などを正確に計測できる3,4).梗塞心などの病的心は正常の左室と異なり非対称な形態を示すことが多く,そのような状態の機能的変化を調べるうえで3次元心エコーは必須である5,6).左室よりも不整な形態を示す右室については,いまや3次元エコーによる計測が標準的方法である7,8).このように2次元エコーでの計測が困難な例でこそ3次元心エコーの実力が発揮できる.さらなる診断精度向上のためにソフトウェアの改善7)とともに,超音波造影剤による心腔造影を併用した3次元コントラストエコーの可能性についても追求されており,元々のエコー像描出が不良な例では特に精度の向上が認められるとの報告もある9).しかし,超音波による微小気泡の崩壊の問題があり,特に超音波送信回数の多い3次元心エコーではコントラスト輝度の減衰が大きい可能性があるため,その応用にはさらなる検討が必要である.
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