Japanese
English
Bedside Teaching
心臓救急と終末期医療
Withdrawal of Terminal Care after Unsuccessful Resuscitation for Cardiovascular Emergency
三宅 康史
1,2
,
有賀 徹
1,2
Yasufumi Miyake
1,2
,
Toru Ariga
1,2
1昭和大学医学部救急医学
2昭和大学病院救命救急センター
1Department of Emergency and Critical Care Medicine, Showa University School of Medicine
pp.305-311
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101226
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はじめに
自らの“死に様”を選ぶことができるのは人間の特権といえる.しかし,救急医療・集中治療の発達した現代においては,「突然重篤な病態に陥り,現代医療の粋を集めた先進治療を施したにもかかわらず救命が不可能と判断された場面で,最後まで本人に意識があり,家族と医師とに自らの意志をはっきりと遺言した後に,短い時間で苦しむことなく息絶える」ことは不可能であるといわざるを得ない.
救急医療や集中治療に従事するものが,治療からの撤退を考慮する場合,下記のいくつかのポイント,すなわち①最善の医療が適切に施されたか,②真に救命不可能な状態か,③本人の意向を確認する努力をしたか,④正確な情報提供によって家族全員の納得が得られたか,⑤主治医側としてもチームあるいは組織として①~④について検証し意見の一致をみたか,⑥一連の事柄は透明性が保たれ,公正であることが確認されているか,⑦患者の苦痛は十分和らげられているか,を丁寧に確認していく必要がある.withhold(治療を手控える)またはwithdrawal(治療を中止する)すればすぐにでも直接命に関わる“終末期医療”が救急医療・集中治療に現実にあることを認識し,主治医としてそこに関わらねばならない時代が来ている.患者本人,家族とも時間をかけて信頼関係を構築し意思疎通を図ることのできる末期癌などによる終末期医療とは,病態変化のスピード,双方が関わる時間の長さに大きな差異があるが,終末期に何をなすべきかについて本質的には同じといえる.
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