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Current Opinion
COPD―成因を中心に
Pathogenesis of COPD:Recent progress
別役 智子
1
Tomoko Betsuyaku
1
1北海道大学大学院医学研究科呼吸器病態内科学
1Department of Respiratory Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.539-543
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100212
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の成因をめぐる最近1年間の話題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,中高年の喫煙者に発症し,慢性,持続性の閉塞性換気障害を呈する疾患群である.肺胞壁の破壊による肺気腫と,過分泌を伴う中枢気道の慢性の炎症による慢性気管支炎をその基本病態とする.2001年4月にWHO(World Health Organization)とNHLBI(National Heart Lung and Blood Institute)が中心となり,このCOPDの診断と治療についての指針GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が発表された1).特記すべき点は,慢性気管支炎と肺気腫は様々に混在しているという前提で,この2疾患をあえて区別せず,COPDという独立した1疾患単位と位置付ける点である.
COPDの様々な危険因子のなかで,長年にわたる喫煙が主たるものと考えられている.この分野において,未解決の重要な課題は「何故喫煙者の一部にのみ,臨床的に明らかな閉塞性換気障害を伴うCOPDが発症するのか」ということである.この疫学的事実は,COPDの発症に喫煙に対する感受性の個体差が関与することを示唆しており,その感受性の本質に迫ろうとする試みが積極的に行われるようになった.
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