Japanese
English
Bedside Teaching
CRTと心筋逆リモデリング
CRT and Reverse Remodeling
石川 利之
1
Toshiyuki Ishikawa
1
1横浜市立大学附属病院循環器内科
1Department of Cardiology, Yokohama City University Hospital
pp.79-83
発行日 2009年1月15日
Published Date 2009/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101188
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重症心不全における収縮の協調性の障害と心筋リモデリング
健常心臓においては,心房心室間の収縮タイミング,左右心室間の収縮タイミング,心室内の各部位の収縮タイミングは協調性を保ちながら収縮拡張を繰り返している.重症心不全例においては収縮力が低下するばかりでなく,しばしばこれらの協調性が失われ効率が低下するため心機能がさらに低下する.収縮不全心においては心腔の拡大および形状の変化という心筋のリモデリングを起こし,心機能がさらに低下する.重症心不全症例においては心拡大に伴う弁輪拡大や左室の形状および僧帽弁弁下部構造の変化により,僧帽弁閉鎖不全が認められることが多いが,その結果さらに心機能が低下するという悪循環に陥る.
重症心不全例においては,しばしば心筋障害により心室内伝導障害を呈し,QRS幅の広い完全左脚ブロック近似パターンを示す.心室内伝導遅延の結果,左室収縮の協調性が失われ(intraventricular dyssynchrony),心機能は低下する.中隔が収縮している時に側壁はまだ収縮が始まっていないために,外側に押し出され,側壁の収縮が始まった頃には既に中隔の収縮は終了している.遅延した側壁の収縮は拡張期に重なることさえある.前後乳頭筋の収縮の協調性が失われると僧帽弁逆流が増悪し心機能をさらに悪化させる(図1).
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