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特集 循環器疾患の逆リモデリング
末梢血管における逆リモデリング
Reverse Remodeling in Peripheral Arteries
森谷 純治
1
,
南野 徹
1,2
Junji Moriya
1
,
Tohru Minamino
1,2
1千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
2科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ
1Department of Cardiovascular Science and Medicine, Chiba University Graduate School of Medicine
2PRESTO, Japan Science and Technology Agency
pp.701-706
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101511
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はじめに
血管リモデリングとは,血管を取り巻く環境の変化,特に長期の血行力学の変化に対応してその構造を変化させる適応現象であり,それに伴って血管機能も変化することが知られている.血管リモデリングは高血圧症,動脈硬化症,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の再狭窄,肺高血圧症,糖尿病,動脈バイパスグラフト狭窄,動静脈瘻,大動脈瘤などの種々の血管病の病態形成に関与する一方,動脈管の閉鎖などの生理現象にも関与している.その成因には血行力学の変化や,ある種の化学物質や炎症,物理的損傷などの外的刺激に対し,血管壁を構成する内皮細胞・平滑筋細胞・線維芽細胞などが活性化することが重要であるとされている.その結果,形質変換,細胞遊走と増殖,細胞肥大,細胞死(ネクローシスとアポトーシス),遺伝子発現と蛋白合成,細胞外基質の産生と分解といった様々な変化が生じる.そしてさらに近年,こうした現象を介在する種々の血管作動物質,炎症性サイトカイン,細胞増殖因子,細胞周期制御因子,接着分子などの存在が次々と明らかとなっている.
本稿では種々の病態に生ずる血管リモデリングについて,さらにその制御ないしリバースする介入方法の可能性(逆リモデリングの可能性)について概説する.
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