Japanese
English
Current Opinion
気道リモデリングの阻止
Update in Prevention of Airway Remodeling
近藤 哲理
1
,
田崎 厳
1
,
石井 博司
1
Tetsuri Kondo
1
,
Gen Tazaki
1
,
Hiroshi Ishii
1
1東海大学八王子病院呼吸器内科
1Department of Medicine, Tokai University Hachioji Hospital
pp.1049-1052
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101132
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気道リモデリングをめぐる最近1年間の話題
[1] 気道リモデリングの臨床
気管支喘息やCOPDなどの慢性気道炎症における気道壁の構成や成分,および分子構築と細胞構成の変化を気道リモデリングと呼ぶ.気管支喘息の気道リモデリングでは,気道上皮配列の変化や上皮下での線維化,気道平滑筋の肥大と増生,杯細胞の肥大,粘液腺の肥大,血管増生,気道浮腫,軟骨の変化などが発生する.気道平滑筋の肥大と増生,さらに血管の増生は気道上皮を内腔方向に圧迫するために非可逆性の気道狭窄の原因となり,杯細胞と粘液腺の肥大は分泌物を粘稠化させて気道閉塞を来し,気道壁の線維化は気道収縮における可逆性を低下させる.これらの機序を通じて気道リモデリングは気管支喘息を難治化させ重症化させる.一方,COPDでは気道リモデリングが病態そのものといっても過言ではない.COPDでは中枢気道,末梢気道ともに気道上皮の扁平上皮化生,線毛上皮の脱落,杯細胞の過形成,粘液腺の肥大,平滑筋の肥大を認める1).中枢気道では,杯細胞の増加と気道上皮の扁平上皮化生が顕著であり,末梢気道では気道(peribronchial)の線維化と肥厚が著しい.COPDの末梢気道でも基底膜の肥厚は存在するが,COPDを特徴づけるものではない1).扁平上皮化生はCOPDの病勢とは関係しているものの,病態への直接寄与はない.しかし,気道上皮の粘液腺への分化増生は分泌物による末梢気道閉塞との深い関わりがある.さらに,気道平滑筋の肥大は喘息の場合と同様に気流制限を助長し,末梢気道の線維化は気管支拡張薬への反応を低下させることとなる2,3).
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