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病態の概念
1. 定義および病態
肺高血圧症(pulmonary hypertension;PH)は,肺動脈圧が異常に高い状態である.PHに関するWHOの国際会議が1973年Genevaで開かれ,その後,1998年にEvian,2003年にVeniceで開かれた.現在ではそこで採用されている「平均肺動脈圧が安静時に25mmHg以上の状態,あるいは運動時に30mmHg以上の状態」をPHの定義として用いることが多い.ところが2008年2月に米国のDana Pointで最新の会議が開催された.その詳細および最終報告はまだ出されていないため,変更の可能性もあるが,そこでの議論では,運動時の値は決めにくいとのことで削除された.また,健常人の肺動脈圧は安静時に14±3mmHgであることから,平均+2SDを上限とすると正常上限は20mmHgであり,安静時の右心カテーテル検査で21~24mmHgをborderline PH,25mmHg以上をmanifested PHと定義されたようである.
肺動脈圧が高くなる原因として肺毛細血管より前に原因があるものと後にあるものがあり,前者を前毛細血管性PH,後者を後毛細血管性PHと呼んでいる.前毛細血管性PHは肺動脈性高血圧症(pulmonary arterial hypertension;PAH)とも呼ばれている.よく用いられる分類として2003年のVenice分類によると,膠原病によるものはPAHのなかに分類されている(表1).多くの膠原病性PHはPAHであるが,後述するように間質性肺疾患によるもの,血栓塞栓によるものなどもあり,治療上もこれらを鑑別することは重要である.
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