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特集 呼吸器疾患:症例から病態生理学/分子病態学へ
肺高血圧症
Pulmonary Hypertension
花岡 正幸
1
Masayuki Hanaoka
1
1信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室
1First Department of Medicine, Shinshu University School of Medicine
pp.985-990
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206046
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呼吸器疾患に伴う肺高血圧症(pulmonary hypertension;PH)
呼吸器疾患に伴うPHとは,基礎にある呼吸器疾患のため2次的に肺血管抵抗(pulmonary vascular resistance;PVR)が増大し,持続的な肺動脈圧上昇を来す病態である.PHの国際分類(ニース分類)第3群(肺疾患および/または低酸素血症に伴うPH)に相当し,原因として7つの疾患/病態が含まれる(表1)1).疾患ごとにPHを合併する頻度は異なるが,なかでも発症率が高く患者数が多いのが,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD),特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF),そして気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema;CPFE)である.PHの診断には右心カテーテル検査が必須であり,安静時の平均肺動脈圧(mean pulmonary artery pressure;mPAP)と心係数(cardiac index;CI)により,mPAP≧25mmHgを“PHを合併した呼吸器疾患(COPD/IPF/CPFE)”,mPAP≧35mmHgあるいはmPAP≧25mmHgかつ低心拍出量(CI<2.5l/min/m2)を“重症PHを合併した呼吸器疾患(COPD/IPF/CPFE)”と定義する2).呼吸器疾患にPHを合併すると,運動耐容能の低下と低酸素血症の悪化を招き,予後不良である.
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