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特集 肺高血圧症治療の現状と展望
肺静脈閉塞症と肺毛細血管腫症
Pulmonary Veno-occlusive Disease and Pulmonary Capillary Hemangiomatosis
松原 広己
1
Hiromi Matsubara
1
1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター循環器科
1Division of Cardiology, National Hospital Organization Okayama Medical Center
pp.1003-1009
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101125
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はじめに
肺静脈閉塞症(pulmonary veno-occlusive disease;PVOD)と肺毛細血管腫症(pulmonarycapillary hemangiomatosis;PCH)は,肺高血圧症の成因としては稀な疾患である.以前は,いずれの疾患も特異な肺疾患として個別に扱われてきたが,2003年にヴェニスで開催されたWHOのカンファレンスにおいて肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension;PAH)に分類された1).これは,いずれの疾患も肺高血圧症を呈するからという単純な理由ではなく,PVODもPCHも,その根本の病因は他のPAHと同様ではないかと考えられ始めたことによる.すなわち,PVODもPCHも他のPAHも,病変の主座が異なるだけで,本態は血管の増殖性閉塞による疾患と理解されるようになってきたのである.しかしながら,治療に対する反応性や予後などが大きく異なることから,臨床的には他のPAHと同一に扱うことはできず,その鑑別が極めて重要となる.加えて,一般的な肺高血圧症に対する治療は時として致死的な合併症をも引き起こすことが知られており2),治療に関しても他のPAHとは異なるアプローチを取る必要がある.
本稿では,従来から知られているPVOD,PCHの疫学・病理・臨床所見に加えて,最新の知見と鑑別のポイント,内科的治療の可能性に関して概説したい.
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