1ページ講座 理学療法関連用語~正しい意味がわかりますか?
肺高血圧症
熊丸 めぐみ
1
1群馬県立心臓血管センター
pp.1007
発行日 2007年12月15日
Published Date 2007/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101078
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●肺高血圧症とは
肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)とは,肺動脈圧の上昇を認める病態の総称で,その原因は多岐にわたる.WHOでは安静臥位平均肺動脈圧が25mmHgを超えた場合にPHと診断できるとしているが,慢性閉塞性肺疾患など換気障害を主体とする疾患の場合には,25mmHgを超えることは多くはなく,わが国では一般的に20mmHg以上を示せばPHが存在するものと理解されている.
PHは病変部位により5つのカテゴリーに分類される(表).一般にPHは稀な疾患であり,原発性肺高血圧症の発症率は100万人に2人程度であるが,膠原病など一部の基礎疾患を持つと,その発症率は極めて高くなる(混合性結合組織病では5~16%程度).成人では女性の発症率が高い.多くは難治性で,放置すると進行性に肺血管抵抗が上昇し,右心不全から死に至る極めて予後不良な疾患群であり,2007年現在,原発性肺高血圧症や特発性慢性肺血栓塞栓症などの10疾患が,PHに関連する主な厚労省特定疾患として挙げられている.一般的に,症状の増悪因子となりうる過度の運動や旅行,妊娠,出産は制限され,禁煙,減塩,休養と感染防止に努めることが求められる.
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