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あとがき
小川 聡
pp.600
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100877
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日本循環器学会学術集会が3月15~17日の3日間神戸で開催された.多くの最先端の研究成果が発表され,活発な議論が交わされた.個人的にはプレナリーセッション「本邦における臨床試験の現状と課題」と「Late-Breaking Clinical Trials in Japan」で座長,演者として関わったので,そこから受けた印象について記したい.
この数年,我が国でも循環器学会が中心となって種々の診療ガイドラインが作成され公表されてきたが,その過程で我が国独自のエビデンスの必要性が声高に叫ばれて来た.そのなかで多くの臨床研究が実施され,その成果が相次いで公表されている.臨床試験は大きく二つに分類される.登録調査研究(いわゆるcohort研究)とランダム化介入試験である.いずれも車の両輪のごときもので診療上のエビデンスとして重要であるが,これを効率的に遂行する際の最大の課題がファンドとインフラ整備,さらには実施医師へのインセンティブをどう高めるかである.今回の発表からは,我が国での臨床試験が黎明期から成熟期に移行して来たことを強く感じさせてくれた.
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