Japanese
English
Current Opinion
たこつぼ型心筋症
Takotsubo Cardiomyopathy
吉川 勉
1
Tsutomu Yoshikawa
1
1榊原記念病院循環器内科
1Department of Cardiology, Sakakibara Heart Institute
pp.1160-1165
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102368
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たこつぼ型心筋症に関する最近1年間の話題
たこつぼ型心筋症に関する報告は症例報告が中心で,従来多数例の調査結果は皆無に等しかった.米国の入院患者データベースから多数例に関する疫学データの解析結果が2件報告された.一つ目は2008年データベースから抽出した6,837例の解析結果で,年齢,性別,患者背景因子などが解析された.女性は男性に比べて頻度が8.8倍,同じ女性でも55歳以上は55歳未満に比べて4.8倍の頻度であった.喫煙,アルコール大量摂取,精神的不安状態,脂質異常症などがその発症と関連した1).さらに,2008~2009年データベースから24,701例のたこつぼ型心筋症のデータが抽出され,院内死亡に関する解析が行われた.総死亡は4.2%であったが,男女差が顕著で,女性に比べ男性の死亡が2.5倍であった.その理由として,男性では重篤な基礎疾患が多いことが挙げられている.たこつぼ型心筋症では心臓死というよりも,このような背景にある基礎疾患が短期予後を規定していることが浮き彫りとなった2).
たこつぼ型心筋症の短期予後は比較的良好で,上記のように院内死亡のほとんどは非心臓死であることが指摘されているが,一方致命的な経過をたどるケースもある.そのうち最も劇的な合併症は心破裂である.82歳女性で発症から第二病日に心タンポナーデに陥り,病理解剖所見で心尖部の心破裂が確認されたたこつぼ型心筋症が報告されている3).
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