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特集 動脈硬化の臨床
脈波解析からみた動脈硬化
Arteriosclerosis Evaluated by Pulse Wave Analyses
高沢 謙二
1
Kenji Takazawa
1
1東京医科大学第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Tokyo Medical University
pp.577-585
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100670
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脈拍数を測定するために橈骨動脈に触れて,高齢で血圧の高い方に当たった時に,なんて硬いのだろうと思ったことがあるだろう.一方,血圧も正常な若年者では非常に柔らかな血管として触れることができる.このような血管の硬さを中心とした情報は脈波を記録することにより客観的に評価することができる.
動脈硬化に陥った血管の素材としての特徴は,簡単にいえば,「厚い」,「硬い」,「狭い」の三要素である.「厚い」の中心はコレステロールの血管壁への沈着による血管壁の肥厚である.「硬い」の要素は肥厚も直接関与するが,コラーゲンの変性や中膜エラスチン含量の低下,さらには石灰化もこれに関与してくる.「狭い」は血管壁の肥厚の結果として内腔が狭くなるという単純なメカニズムでも起こるが,実際にはリモデリングといって血管内腔を保つための代償機転として血管外膜が拡張する現象(positive remodering)や,逆に外膜方向への拡張がみられず血管外膜周も小さくなってしまうといったnegative remodeling(shrin-kageともいう)が複雑に絡み合っている.このような動脈硬化に伴って生じた血管の変化,つまり厚い,硬い,狭いの状態は脈波速度を促進させ,動脈反射波を増大させることとなる.
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