Japanese
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Bedside Teaching
日本人の肺機能検査基準値について―スパイログラムと動脈血ガス分圧基準値を中心に
Reference Values of Lung Function Testing in Japanese:Spirometory and arterial blood gas
高橋 幸成
1
,
中村 雅夫
1
Yoshinori Takahashi
1
,
Masao Nakamura
1
1珪肺労災病院呼吸器内科
1Department of Respiratory Medicine, Keihai-Rosai Hospital
pp.277-282
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100643
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肺機能検査基準値について
肺機能検査は呼吸器疾患のみに限らず日常診療においてルーチン検査として行われている基本的検査項目である.また,じん肺法や身体障害者福祉法で障害の重症度の評価方法として広く用いられている.利用に際して基準値が必要であるが,従来より,その基準値としては,肺活量ではBaldwinらの予測式,1秒量ではBerglundらの予測式など欧米の基準値が用いられている.しかし,これらは仰臥位で求められた基準値であるという問題点があるうえに,欧米人と日本人の体格の違い,ライフスタイル,性,年齢などによって肺機能検査基準値は影響を受けることが明らかとなっている1).したがって,基準値としては,体位や測定方法を統一したうえで日本人に適した基準値を決めることが求められる.日本人の基準値としては,日本胸部疾患学会肺生理専門委員会より1993年2月に発表されたが,この基準値は母集団に高齢者数が少ないことと,スパイログラムの表示を身長で割った値として出しているものであり2)世界的に認められている身長と年齢の関数として計算している基準値ではないことから,わが国のスパイロメーター各機器には採用されておらず,現在でも欧米の基準値が採用されている.
そうしたなかで,2001年に日本呼吸器学会肺生理専門委員会より新たな日本人の基準値が発表された3).本稿では,日本人の肺機能検査基準値について,特にスパイログラムと動脈血ガス分圧基準値を中心に考察したい.
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