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気管支喘息とCOPDに対する長時間作用型β2刺激薬をめぐる最近1年間の話題
β2アドレナリン刺激薬(β2刺激薬)が気道閉塞性疾患の治療薬として使用されている.アドレナリンが作用する受容体は,その薬理学的特性から,1948年Alquistによりαとβのsubtypeに分類され,1967年Landsらによりβ受容体はβ1とβ2に細分類された1).臨床薬理学の発展により,β2選択性の高いサルブタモール,テルブタリン,フェノテロールなどが開発され,気道閉塞症状を改善させる発作治療薬として基本的に頓用で使用されている2).
一方,分子生物学の発展に伴い1987年Koblikaらによってβ2受容体遺伝子はクローニングされ,アミノ酸配列や構造が明らかにされた.β2受容体は7つの細胞膜貫通ドメインを持つ典型的なGTP結合蛋白共役型受容体である1).受容体autoradiographyやin situ hybridization法により,肺の構造を形成している細胞群と,肺に集積する種々の炎症細胞に多数のβ2受容体が存在することが明らかにされた3).こうした研究成果や分子構造薬理学の発展などもあって,作用時間が12時間を超えるβ2刺激薬が開発された.
長時間作用型β2刺激薬(long acting β2-agonists:LABA)は,短時間作用型β2刺激薬(short acting β2-agonists:SABA)の気管支拡張作用持続時間が4~6時間であるのに対して,気管支拡張作用持続時間を12時間以上有する薬剤のことである(表1).近年,サルメテロールやフォルモテロールなどが開発された4).海外では1991年から吸入薬として臨床使用され,気管支喘息5)やCOPD6)などの気道閉塞性疾患に対して,その具体的位置づけが確立されつつある.本邦でも2002年6月にサルメテロール(セレベント(R))が臨床使用可能となり,治療の選択肢が拡がった.
本稿では気管支喘息とCOPDに対する治療薬としてのLABAの臨床的位置づけを最近の話題とともに概説する.
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