Topics Respiration & Circulation
長時間作用性吸入β2刺激薬
近藤 哲理
1
1東海大学医学部第二内科
pp.1313-1314
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901391
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■最近の話題 喘息死とfenoterol吸入剤の使用に関する疫学的調査や,吸入β2刺激薬のレギュラーユースと喘息悪化の関係が報告されて以来,吸入β2刺激薬は最小限に使用することが安全とされている.一方,これら疫学的調査の解釈や吸入β2刺激薬による気道過敏性亢進の臨床的意義に対する批判が存在することも事実である(Giuntini CG & Paggiaro PL:Eur Respir J 8:673-678,1995).吸入β2刺激薬乱用の危険性はfenoterolのような短時間作用型については知られているが,長時間作用型については確定していない.さらに,最近,吸入ステロイドが吸入β2刺激薬による気道過敏性亢進を抑制することが示されて(Adcock IM,et al:Eur Respir J 9:160-168,1996),長時間作用性吸入β2刺激薬のレギュラーユースと吸入ステロイドの併用による喘息治療に強い期待が持たれている.
わが国でも長時間作用製剤のsalmeterolが近い将来発売ともいわれ,吸入β2刺激薬レギュラーユースの話題は興味深いが,その有用性は今回紹介したWoolcockらの論文でほぼ確立したといえる.しかし,この論文中にも有用な結果への明解な説明はなく,一方の安全性についても,結論が出るまでにはまだ暫くの時間が必要であろう.
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