Japanese
English
特集 循環器疾患治療の新たなアプローチ:アルドステロンを見直す
アルドステロンブレイクスルー現象
The Pathophysiology of Aldosterone Breakthrough
佐藤 敦久
1
,
猿田 享男
2
Atsuhisa Sato
1
,
Takao Saruta
2
1国際医療福祉大学附属三田病院内科
2慶應義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, Mita Hospital, Internal University of Health and Welfare
2Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.1257-1262
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100596
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
近年,多くの基礎研究,臨床研究からレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)におけるアルドステロンの重要性が注目され,RA系抑制薬による治療においてもアルドステロンとの関連は常に考慮すべき課題になってきた.すなわち,RA系抑制薬による降圧作用,臓器保護作用を期待する際には,いかにアルドステロンの作用を効率よく抑制できるかも重要ポイントの一つであることがわかってきた.その意味で本稿ではRA系抑制薬治療中のアルドステロンへの影響を,最近注目されているアルドステロンブレイクスルー現象も含め概説し,RA系抑制薬と抗アルドステロン薬の併用療法への期待についてもまとめてみる.
アルドステロンブレイクスルーは,Pitt,Struthersらによって提唱された当初エスケープという表現がされ1),最近までそのように使用されてきた.しかし,そもそもアルドステロンエスケープとは歴史的に別の意味で用いられてきており(アルドステロンを投与した際,最初はナトリウム貯留のため体重が増加するが,長期的には逆に尿中ナトリウム排泄量が増加して体重が正常化すること),それを尊重することと,混乱を避けることから最近ではブレイクスルーで統一される傾向にある.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.