特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
副腎
アルドステロン
保嶋 実
1
1弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座
pp.350-352
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104789
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
アルドステロンは副腎皮質球状層で産生・分泌される強力な鉱質コルチコイドである.レニン・アンジオテンシン(RA)系活性の中心であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)がアルドステロンの強力な分泌刺激因子である.副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)や高カリウム(K)血症もアルドステロン分泌を刺激する.アルドステロンの主な標的器官は腎の遠位尿細管で,ナトリウム(Na)イオンの再吸収とKイオンと水素(H)イオンの排泄に働き,体液の恒常性維持に重要な役割を果たしている.アルドステロン分泌の指標としては,血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration:PAC)が用いられている.PACの単位はng/dlで表示される場合とpg/mlで表示される場合があり,後者では数値が10倍となるので注意が必要である.
原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧などの二次性高血圧の診断に必須である.血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)と同時に測定し,評価することが臨床的意義をさらに高める.特に原発性アルドステロン症では両者の比率(PAC/PRA比:ARR)がスクリーニング検査としての感度を高める.さらに各種浮腫性疾患や水・電解質,酸塩基平衡異常の鑑別診断や病態の把握を目的に検査が行われる.
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