今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
水電解質代謝調節ホルモンの話題
アルドステロン
東原 英二
1
,
武内 巧
1
,
奴田原 紀久雄
1
1東京大学医学部・泌尿器科
pp.852-854
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220364
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ネフロンの電解質転送に及ぼすアルドステロンの作用は,①Na+再吸収の促進,②K+分泌の促進,③H+分泌の促進にある.図1に示すように,アルドステロンに対する高い親和性は皮質部集合管(Cortical collecting duct,CCD),髄質外層集合管(Outer medullary collecting duct,OMCD),髄質内層集合管(Inner medullary collectingduct,IMCD)にあることが示されている1).Na+の再吸収とK+の分泌能はCCDがOMCDより高く,H+の分泌能はCCDよりOMCDの方が高いことがin vitroの単離尿細管微小灌流実験で示されている.IMCDは微小灌流実験には適さないので,主としてin vivoの微小穿刺法で研究されているが,Na+の再吸収とH+分泌の容量はかなりあるが,Kについては生理的条件の差によって分泌も再吸収もあることが示されている.アルドステロンはCCDではNa+とK+の転送を2),OMCDとIMCDではH+分泌を調節支配するホルモンとして働いている3).アルドステロンのNa+-K+とH+に対する2つの調節作用は,ネフロンの異なった部位に区分されていることになる.
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