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特集 急性肺塞栓症の最新の知見
急性肺血栓塞栓症の最新の治療
New Trend in the Treatment of Acute Pulmonary Thromboembolism
佐藤 徹
1
Toru Satoh
1
1慶應義塾大学医学部教育統轄センター/循環器内科
1Medical Education Center, School of Medicine, Keio University
pp.691-694
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100577
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急性肺血栓塞栓症の発症数はアメリカでは年間500,000人といわれ,急性肺塞栓症に治療が行われなかった場合の死亡率は30%近くに上り1),適切な治療が施行されると死亡率は5%以下2)となることが知られている.急性肺塞栓症の死亡は発症早期に起こることが多いため予防を常に考慮しなければならないが,発症後には急性肺塞栓症を鑑別診断に挙げ,早期に確定診断をする必要がある.確定診断後の治療は重症度に応じて分かれるが,発症早期を乗り切れば,適切な治療を施行することにより予後は良好である2).本稿では,基本的治療に関する現在までのevidenceをまとめた後,特殊な治療を必要とする広汎型肺塞栓症の治療法を述べ,さらに最新の報告について言及したい.
基本的治療法
1. 抗凝固療法
1) ヘパリン
即効性のある薬剤で肺血栓塞栓症の治療の中心となる.治療開始より24時間以内に抗凝固能をコントロールできるか否かが再発率と深い関係を持ち,再発が死亡と密接な関係を有するため3),投与開始時に厳密な投与量のコントロールを行う必要がある.
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