病気のはなし
急性肺血栓塞栓症
国枝 武義
1
1慶應義塾大学伊勢慶應病院内科
pp.930-938
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903619
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新しい知見
疫学的に見て,臨床上有意な肺血栓塞栓症のわが国の発生頻度は米国の1/50と考えられる.米国での年間発生数は50〜60万人とされ,1/50でも相当な患者数になる.わが国でも発症2時間以内に死亡する症例が8%の頻度で見られ,発症即死亡に至るような致死性急性肺血栓塞栓症が,欧米に近い相対的頻度で発症することが明らかになった.治療の第一選択薬は従来どおりヘパリンであるが,急性肺血栓塞栓症は新鮮血栓が肺動脈を閉塞する疾患であり,発症初期の血栓溶解療法が有効である.それゆえ,早期診断・早期治療の必要性が高まった.今後ますます問題になる疾患だけに,本症の理解と認識が臨床の現場で要望されてきている.
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