視座
大学人と地方医師会
竹光 義治
1
1旭川医科大学整形外科
pp.857
発行日 1979年9月25日
Published Date 1979/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905981
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大学病院staffの任務は教育と研究と診療の三つであることは言うまでもない.しかし,大学人の評価は教育上の成果や個々の患者に対する医師としての診療能力より研究業績の量が重視される傾向がある.確かに臨床医学者としては不明の疾患について特殊検査所見与論述したり,難症例に対する高度手術の成績を発表することは必要であり,その方が華々しく評価の対象になり易い.しかし,医学者と言えども現在目前にあつて多くの国民が困惑している保健上の問題に対しては可及的早期に救いの手をさしのべる社会的責任を負つていると言えよう.
現在,患者,医師,行政三者共々困惑しているものに職業病がある.北海道に多い振動障害に例をあげよう.例の洞爺丸台風(昭29)による厖大な数の風倒木を処理するためチェーンソーが導入された数年後よりいわゆる白蝋病が発生し始めたが,職業病として法制化されるや年々鰻上りに認定数は増加し国有林民有林計4,000人の労働者のうち昨年までで600名(平均15%)に昇つた.数は兎も角として問題は認定率の不均一さにあつた.
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