巻頭言
地方(大学)での内科の在り方
伊藤 正明
1
1三重大学大学院医学系研究科循環器・腎臓内科学
pp.7
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101868
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新医師臨床研修制度がスタートして8年目を迎えた.この制度をきっかけとして,特に地方で医師不足が顕在化し,この問題はまだまだ悪化する一方だと感じるほど厳しい状況にある.県レベルにおいても地域間格差が広がり,人を集められる“勝ち組病院”と“負け組病院”が定着し,その差はさらに広がっている.三重県では内科常勤医がいない公立病院も現れてきた.医療はライフラインの一部で,いわば平時の国防たる領域であり,完全な自由競争はこの分野には馴染まない.
研修医に人気のない病院は給与を上げることで研修医を確保し,遠隔地の医療,救急医療を担う医師を確保するため行政は奨学金制度を設ける.給与という“お金”の面で地方はバブル化し,メタボ状態になった勤務医も少なくない.研修医を確保するには,“厳しい”という風評はネガティブであり,本来あるべき節度ある厳しさを持った指導を躊躇する指導医も多い.
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