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Strainとは?
ものに力が加わると変形する.加わった力に応じてものの内部に生じる抵抗力をstress(応力)といい,ものの変形の程度をstrain(歪み)と呼ぶ.心筋strainとは心筋セグメント(任意に決めればよいが,実際には3~9mm程度の長さのセグメントを設定する)の「伸びた長さ÷もとの長さ」である(図1).長さが縮んだ場合には負のstrain値となる.8mmの長さの心筋セグメントが収縮して4mmになれば,strainは(4-8)/8=-0.5となる.収縮期に適応する場合には,局所の心筋収縮率と言い換えることができる.この心筋strainをどうやって計測するかは後述するとして,まずどのようなstrain値が得られるのかを述べる.
同じ左室心筋でも心内膜側と心外膜側では働きが違う
左室壁は,どの部分をとっても同じ素材である心筋細胞でできている.しかし,その内側と外側では働きが大きく異なる.健常者のradial strain(左室短軸断面での半径方向のstrain)は心内膜直下がいちばん大きく,心外膜に向かうにつれて小さくなる勾配(transmural gradient)を示す.このtransmural gradientは,長軸方向のstrainでも,円周方向のstrainでも認められる.左室壁を内側と外側に二分すると,内側心筋のstrainは外側心筋のそれの約2倍となることが知られている.このことより,心外膜側心筋はほとんど収縮しないで,心臓の形を保つ「外骨格」のような働きをすると喩えることもある.これに対して心内膜側心筋はradial strainで1弱が正常で,これは心筋セグメントが収縮期に2倍以上伸びるということを示す.
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