Japanese
English
綜説
不安定プラークの診断
Diagnosis of Vulnerable Coronary Plaques
小宮山 伸之
1
Nobuyuki Komiyama
1
1埼玉医科大学循環器内科
1Division of Cardiology, Saitama Medical School
pp.937-946
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100363
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はじめに
虚血性心疾患のなかでも比較的突然発症し,しばしば致命的な経過をたどる急性心筋梗塞や不安定狭心症などをまとめた疾患概念が急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)である.冠動脈内で突然血栓が形成され血管を閉塞してしまうことが発症機序であると考えられている.
やがてこの原因となる冠動脈局所の病変あるいは動脈硬化性プラークを “vulnerable plaque”(VP)と呼ぶ.これがいわゆる“不安定プラーク”であるが,剖検例などの検討から病理組織学的にいくつかの特徴的なタイプに分けられる(図1).さらにVPにはプラークでの炎症が関与していると考えられ,また患者単位で局所の炎症の存在を血液検査で検出できるようになり,従来の冠危険因子に加えてこれらの新たな危険因子を有する患者を “vulnerable patient” として判別する試みもなされている.
本稿では,急性冠症候群の発症予防を目的としてVPを検出し,さらには “vulnerable patient” を診断するための現在の方法・技術について概説する.
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