Japanese
English
綜説
慢性心不全におけるトロポニンT測定の意義
Serum Concentration of Cardiac Troponin T in Chronic Heart Failure
佐藤 幸人
1
,
鷹津 良樹
1
,
北 徹
2
,
木村 剛
2
Yukihito Sato
1
,
Yoshiki Takatsu
1
,
Toru Kita
2
,
Takeshi Kimura
2
1兵庫県立尼崎病院循環器内科
2京都大学附属病院循環器内科
1Department of Cardiology, Hyogo Prefectural Amagasaki Hospital
2Department of Cardiovasculer Medicine, Graduate School of Medicine, Kyoto University
pp.717-721
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100330
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はじめに
慢性心不全は左室拡張と収縮能低下を呈する病態であり,病理学的に心筋細胞の肥大,空泡化,筋原線維の減少などの心筋傷害と間質の線維化を認める.臨床経過は多様で,左室駆出率低下が著しくても,心不全症状が代償されたまま10年ほど症状の悪化をみない症例や,1,2年の経過で急速に悪化して死への転帰をとる症例など多彩である.病態が悪化する背景には従来の検査で検出できない微小心筋傷害が関与していると推測されるが,心不全における微小心筋傷害を臨床的に客観的に評価することは従来困難であった.微小心筋傷害を簡便に定量的に検出する方法が臨床に導入できればこのような病勢の進行速度も把握しやすくなると考えられる.
本稿では,心不全患者において血中心筋トロポニンT(TnT)測定を用いた微小筋傷害の検出について述べる.
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