Japanese
English
Bedside Teaching
呼吸器の身体所見
Physical Diagnosis of Respiratory Diseases
長坂 行雄
1
Yukio Nagasaka
1
1近畿大学医学部堺病院呼吸器科
1Department of Respiratory Medicine, Sakai Hospital, Kinki University School of Medicine
pp.285-291
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100272
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はじめに
身体所見は病歴を即座に裏づける診療技術である.26年前,沖縄県立中部病院で恩師,宮城征四郎先生から回診中に,「この患者さんの身体所見をとって胸部X線像を描いてごらん」と言われて不可能だと思った.しかし,描いてみるうちに身体所見の精度は高まった.病歴で身体所見をとるポイントを確認し,身体所見で生じた問題点を再度病歴で確認する.そして鑑別診断,必要な検査と治療を想定する.
丁寧な診察は患者と医師の信頼関係を強め,コメディカルの協力も得やすい.会話しながら診察すれば,患者も安心して良い情報が得られる.特に初診では患者と家族の不安に配慮して診察する.呼吸困難感など,患者の訴えは過大,過少な場合もあるので,身体所見から重症度を客観的に評価する.
診察では,急性か慢性か,の認識が重要である.例えば呼吸不全でも,急性の病変では自覚症状,バイタルサインの変化が目立つ.慢性期では代償が起こり,バイタルサインや自覚症状の変化は乏しいが,身体所見には胸郭の変形,補助呼吸筋の発達など明らかな変化が認められる.以下の解説もそのように理解していただきたい.日常の診察の順序に従って解説する.
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