連載 Dr.長坂の身体所見でアプローチする呼吸器診療・12
—Common Diseaseの身体所見①—喘息とCOPD
長坂 行雄
1,2
1洛和会音羽病院
2洛和会京都呼吸器センター
pp.351-358
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200150
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●はじめに
気管支喘息は,「喘息予防・管理ガイドライン」1)で「気道の慢性炎症を本態とし,臨床症状として変動性を持った気道狭窄(喘鳴,呼吸困難)や咳で特徴付けられる疾患」と定義されている.COPD(chronic obstructive pulmonary disease)は,「COPD診断と治療のためのガイドライン」2)で,「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である.呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に作用することにより起こり,通常は進行性である.臨床的には徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳,痰を特徴とするが,これらの症状に乏しいこともある.」と定義されている.このような現在の定義,疾患概念が確立したのはCOPDのほうが早く1970年代の後半,喘息は1980年代の中頃である.
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