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当院には日本でも1~2位を争うほどの多数の喘息患者が集まってきている.これらの患者のなかには,重症難治化した患者も含まれており,これまで種々の治療法により対応してきた.ブロンコレアでは約90例に及ぶ症例に高用量よりの全身性ステロイドを使用し,その9割に喀痰量をゼロとする改善を得ている.また,高用量の吸入ステロイド+経口ステロイドを用いてもコントロール不良の患者群に対するインタール液ネブライザー吸入療法の有用性(Respiratory Medicine in press)の検討,更にはステロイド不応性に陥り喘息発作を頻発する患者に対するサイクロスポリン(CyA)の有用性,その使用法の検討も行ってきた.
その他,少しの労作で息切れ,動悸,背中のはり,身体の疲労感,頭がぼうっとして目がすっきりと見え難くなるなどの不定愁訴様の訴えをし,高用量のステロイドと酸素吸入を要する原因不明の患者群をみるに及び,これらについても検討を進めている.当初は種々の検索,例えば胸部X線写真,胸部CT,肺血流シンチ,TBLBなどにおいても何ら異常をみつけられなかった.これらの症例の背景因子に共通する点としては,喘息症状があるにもかかわらず仕事,家事,育児,介護などに頑張らざるを得ない状況にある患者にみられ,その際の肘静脈よりの末梢血PvO2が高値を示すことであった(正常値15~30Torr).原因不明であるが,PvO2が70~80~90以上を示す症例ではPaO2との差幅が小さく,これは何らかの理由で組織での酸素が使われ難くなり,そのためもあって身体全体の細胞が酸欠状態に陥っていると言わざるを得ない状態といえる.また,既述の症状が出現した場合の患者の発作強度も増し,頻回の点滴が必要となる.
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