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特集 僧帽弁弁膜症治療の現況
僧帽弁閉鎖不全症の左室機能評価は手術時期決定に有用か
Evaluation of Left Ventricular Function for Determining the Timing of Valve Surgery in Mitral Regurgitation
矢野 雅文
1
,
松﨑 益德
1
Masafumi Yano
1
,
Masunori Matsuzaki
1
1山口大学医学部第二内科
1Department of Internal Medicine II, Yamaguchi University School of Medicine
pp.455-460
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901474
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はじめに
僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁以外に弁輪や腱索,乳頭筋およびその付着部左室壁を含めた僧帽弁複合体の構造的,機能的異常により生じ,その成因上リウマチ性か非リウマチ性かに大別される.リウマチ性のものでは弁膜の肥厚や交連部の癒合,さらには腱索や乳頭筋の肥厚,短縮や弁輪部の硬化縮小が生じ通常僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症の形を呈するため,従来より僧帽弁置換術が施行されてきた.しかしながら,リウマチ性のものは近年減少し,これに対して,拡張型心筋症や虚血性心疾患など,心筋収縮不全から左室拡大を呈する病態における二次的な機能的閉鎖不全(乳頭筋機能不全を含む)や僧帽弁逸脱症候群が増えるに伴い,僧帽弁形成術による修復が積極的に行われ手術成績は飛躍的に向上した.このような経緯をふまえて手術時期も再検討されつつある.特に術前の左心機能は術後の左心機能や遠隔予後に深く関わっているため,術前に僧帽弁逆流の成因および逆流の程度のみならず左室機能を正確に把握することは至適な手術時期決定をするうえできわめて重要である.
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