Japanese
English
Bedside Teaching
高血圧治療と利尿薬
Pathophysiology of Antihypertensive Therapy with Diuretics
木村 玄次郎
1
Genjiro Kimura
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態内科学
1Department of Internal Medicine and Pathophysiology, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences
pp.71-80
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100146
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はじめに
利尿薬,特にサイアザイド系およびその類似薬は1日1回の服薬で緩徐かつ安定した降圧効果を発揮する.そのため,古くから降圧薬として広く用いられてきた.絶対的禁忌が少なく,服薬コンプライアンスが良い,経済的負担が軽いなど利点も多い.最近の大規模臨床研究においても,脳血管障害を中心とした心血管系臓器障害に対する予防効果が明らかにされている1,2).低用量の利尿薬ならほとんど全ての心血管イベントに関して他の種類の降圧薬に劣ることはない(図1)2).これらの事実を受けて2003年に発表された米国合同委員会の第7次勧告(JNC-7)では,サイアザイド系利尿薬を降圧薬として優先的に使用するよう推奨している3).降圧薬を併用する場合は,そのうちの1剤は必ずサイアザイドにすべきとも勧告している3).一方,Ca拮抗薬やレニン-アンジオテンシン(RA)系抑制薬(変換酵素阻害薬ACEIとアンジオテンシン受容体拮抗薬ARBの総称)など,機序の異なる降圧薬が開発され降圧薬を選択する幅が広がっている.その結果,代謝面での副作用に対する懸念から利尿薬の使用頻度が極端に低下している.そこで,利尿薬の適正使用について見直そうとの機運が高まっている.
本稿では,どのような特徴を有する高血圧患者に対して利尿薬を選択すべきか,その理論的背景を病態生理に基づいて明確にしてみたい.
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