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特集 レニン・アンジオテンシン系と臓器保護
レニン・アンジオテンシン系と心臓領域
Renin-Angiotensin System and Cardioprotection
山本 博之
1
,
松村 泰志
1
,
武田 裕
1
,
北風 政史
2
Hiroyuki Yamamoto
1
,
Yasushi Matsumura
1
,
Hiroshi Takeda
1
,
Masafumi Kitakaze
2
1大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科学
2国立循環器病センター心臓血管内科
1Department of Internal Medicine and Therapeutics, Osaka University Graduate School of Medicine
2Cardiology Division of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.797-808
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100078
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はじめに
レニン・アンジオテンシン系(RAS系)は,循環器領域において治療にまで結びついた最大の生理活性物質による循環調節システムの一つである.1898年,TigerstedtとBergmannは兎腎の抽出液が昇圧作用を有することを見出し,その物質をレニンと名付けた.その後1940年に,①レニン自体には昇圧作用がないこと,②レニンにより昇圧作用をもつ物質が生じることが発見され,PageらとBraun-Menendezらが別々にこの物質を同定し,各々angiotonin,hypertensinと名付けた.その後の検討からどちらも同一物質であることが判明し,1958年に両者の名前を組み合わせてangiotensin(アンジオテンシン)と命名された.1956年にはアンジオテンシン変換酵素(ACE)も発見され,1950年代後半にレニン・アンジオテンシン系の全体像が浮かび上がってきた.1970年代に入ると,心不全の病態においてレニン・アンジオテンシン系の重要な役割が認識されはじめ,1977年にはACE阻害薬カプトプリルが登場し1),いまやACE阻害薬は心不全治療に必須な薬剤にまで成長した.さらに1990年代に入ると,アンジオテンシンII(Ang II)タイプ1受容体拮抗薬(ARB)が登場し,現在レニン・アンジオテンシン系に関わる治療薬として脚光を浴びている.
今回はRAS系が心血管系に及ぼす作用とレニン・アンジオテンシン系阻害薬における心保護作用に焦点を当てて述べることにする.
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