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特集 レニン・アンジオテンシン系と臓器保護
レニン・アンジオテンシン系と脳領域
The Renin-Angiotensin System and Brain
中村 智実
1
,
内山 真一郎
1
Tomomi Nakamura
1
,
Shinichiro Uchiyama
1
1東京女子医科大学脳神経センター神経内科
1Department of Neurology, Tokyo Women's Medical University Neurological Institute
pp.787-795
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100077
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はじめに
レニン・アンジオテンシン(RA)系は,重要な血圧調節系であるが,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などRA系に作用する薬剤は単に降圧を目的とするのみならず,近年では心や腎などの臓器保護をも視野に入れた高血圧治療戦略のツールとして認識されつつある.高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり,降圧治療によって脳卒中の発症リスクは他の血管イベントの発症リスクよりも効果的に低減できる1).さらに,RA系作動薬には降圧効果を超えて脳卒中の発症や認知機能の低下を抑制するなどの脳保護作用を示唆する大規模臨床試験の結果が出つつあり,注目を集めている.
本稿ではまず,これらのRA系薬剤に関して,脳卒中発症や認知機能低下の抑制効果を検討した大規模臨床試験を紹介し,脳循環や脳虚血に対するRA系の生理的意義を解説する.
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