Japanese
English
今月の主題 遺伝性消化管疾患を考える
序説
遺伝性消化管疾患を考える
Introduction
松本 主之
1
Takayuki Matsumoto
1
1岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科分野
キーワード:
遺伝性消化管ポリポーシス
,
monogenic IBD
,
腺腫性ポリポーシス
,
過誤腫性ポリポーシス
,
鋸歯状腺腫症
Keyword:
遺伝性消化管ポリポーシス
,
monogenic IBD
,
腺腫性ポリポーシス
,
過誤腫性ポリポーシス
,
鋸歯状腺腫症
pp.1577-1578
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403203421
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
近年の遺伝子解析技術の進歩はがんゲノムの研究に多大な影響を及ぼし,消化器癌の早期診断や治療に広く用いられるに至っている.一方,遺伝子の網羅的解析により,消化管疾患の遺伝的背景も明らかとなりつつある.21世紀初頭には,炎症性腸疾患や過敏性腸症候群など非腫瘍性疾患における遺伝子解析が進み,前者では250領域を超える遺伝領域が疾患関連遺伝子として同定され,一部は疾患マーカーや治療標的として注目されている.
まれではあるが,家系内に集積する消化管疾患が存在する.特に,大腸癌が集積する家系として,Lynch症候群や家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis ; FAP)の2大疾患は広く周知されており,これらはいずれも常染色体顕性遺伝の形式で家系内に発生する.また,遺伝性消化管ポリポーシスは1960年代から特徴的な臨床像を呈する疾患群として知られており,遺伝子型と臨床像の関係について議論されてきた.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.