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増刊号 図説「胃と腸」画像診断用語集2022
病理
focally enhanced gastritis
focally enhanced gastritis
牛久 哲男
1
1東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野
pp.736
発行日 2022年5月24日
Published Date 2022/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403202893
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FEG(focally enhanced gastritis)とは,1個または複数の腺管を巻き込む局所的な炎症細胞浸潤巣を形成する胃炎のパターンで,背景粘膜の炎症は乏しく,弱拡大観察ではFEG病変部が強調されて観察されることが特徴である(Fig.1a).浸潤細胞はリンパ球や組織球を主体とし,形質細胞,好酸球や好中球を混じることも多く,肉芽腫反応を伴う場合もある(Fig.1b,c).
FEGは当初,Crohn病に特異的な胃病変(Crohn病56% vs.対照群0.8%)として報告された1).しかしながらその後の検討では,FEGはCrohn病に特徴的な胃病変であることは確かであるが,潰瘍性大腸炎でも20%前後にみられる胃病変であり(Fig.2),さらにIBD(inflammatory bowel disease)以外の患者でも数%から最大で19%の胃生検でみられたとする報告がなされ,現在では必ずしもCrohn病に特異的な所見ではないと考えられている.非IBD例では臨床的に明らかな胃病変のない健常者例の他,H. pylori(Helicobacter pylori)胃炎,骨髄移植後〔特に移植片対宿主病(graft-versus-host disease ; GVHD)例〕,薬剤性胃炎,CMV胃炎などでもFEGが認められることがある.
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